スピルバーグ映画に学ぶ「あおり運転」対策
ここ数年で、あおり運転事件が急増したような気がするのですが、気のせいでしょうか?
実は、日本以上の車社会であるアメリカでは「あの映画」をきっかけに、あおり運転(英語だとロード・レイジ)が広く社会に知られたのです。
今回はその映画をまじえつつ、あおり運転について考えましょう。
今日の+αはあおり運転です。
- 1.無名時代のスピルバーグ映画『激突!』
- 2.『激突!』の見どころ
- 3.日本にはあおり運転が無かった?
- 4.どんな車種があおり運転をするのか?
- 5.『激突!』の主人公はあおり運転対策としては0点
- 6.この先、あおり運転は増える
- おまけ
- まとめ
1.無名時代のスピルバーグ映画『激突!』
一言あらすじ
ハイウェイで何気なく追い抜いた大型タンクローリー(上の画像)が、逆ギレして追いかけてくる話。
2.『激突!』の見どころ
この映画はスピルバーグが1971年に撮った映画です。
『激突!』では主人公の乗る車が、片側一車線の道を走るタンクローリーを追い越しただけで、トラックの運転手が「キレ」る。
そこからずっと、巨大トラックが主人公の車を追いかけてくるというシンプルなカーチェイスムービーなのです。
最初は逃げ腰だった主人公も、徐々にトラックの運転手と同じように「キレ」はじめ、お互いにロード・レイジにとりつかれて、収拾のつかないあおり運転合戦が続く。
ここが映画の見どころです!
3.日本にはあおり運転が無かった?
アメリカでは日本より50年近くも前に、あおり運転への注目が集まっていたのです。
といっても、昔の日本にあおり運転がなかったかというと、それはありえません。
おそらく昔の日本では、「あおり運転=犯罪である」とは見なされていなかったのでしょう。
日本特有の「事なかれ主義」が、あおり運転を目立たせなかったのではないでしょうか。
警察に通報せず、なるべく穏便に済ませようとする日本人の特徴だね
だからあおり運転が表沙汰になって知られることがあまりなかった、というわけ。
最近になってあおり運転が増えたように感じるのは、警察が積極的に摘発を始めたからでしょう。
あおり運転自体は、昔から日本にも存在していたのです。
あおり運転に性格はあまり関係ない
あおり運転をする人というと、普段から喧嘩っ早くて怒りっぽい人だと思いますよね。でも実際はそうではありません。
いつもはごく普通の人がハンドルを握ると、人格が豹変することがよくあります。
こち亀の本田くんみたいなタイプですね。
「この人」みたく
— おっさんさん (@ossanhassan) June 16, 2019
バイクとか車に乗ったら人格かわる人もいますからねぇ😂#本田速人 #こちら葛飾区亀有公園前派出所 pic.twitter.com/N3X3pcB6ky
また、女性ドライバーであってもあおり運転は起こす人はいます。
腕力のない女性にとって車は扱いやすいので、あおり運転を起こす女性も少なからずいます。
4.どんな車種があおり運転をするのか?
ドライバーの性格よりももっと直接的にあおり運転に関係するのは、運転している車の種類です。
大型車であればあるほど、また高級車であればあるほど、人はあおり運転をしやすくなります。
ちなみに、オープンカーを運転するドライバーは、かえってあおり運転を起こしにくいらしい。
なぜなら、オープンカーはドライバーの姿が外から丸見えだから。
逆に大きなワゴン車などを運転するドライバーは、自分が守られていると錯覚しやすいため、あおり運転を起こしやすくなる。
車というのは、ドライバーの鎧なのだ。
━━ということは、あおり運転を起こしやすい車がおのずと分かってくる。
- ・オープンカーではない車
- ・ワゴン車やトラックなどの、密閉感が強い車(特に車高が高い車は外からドライバーが見えにくいので、あおり運転を起こしやすい)
- ・ウィンドウにスモークを張って外から見えづらくしている車
これらの車は要注意。
不審な動きをされたら、なるべくすぐに沿道の駐車場に入ったりしてやり過ごしましょう。
悲しい事実ですが、公道に出たドライバーは無意識に他のドライバーを値踏みします。
「あの軽自動車はボロいし小さいし、貧乏人が乗ってるな。ちょっとくらいあおってやってもいいだろう」というように。
よく、無差別殺人者が「誰でもよかった」と殺人の動機を口にすることがありますが、実際には女性や子供などの弱者をターゲットにしています。
それと同じように、あおり運転をするドライバーも無意識のうちに「あおり運転をしても大丈夫そうな車」を選んでいるのです。
5.『激突!』の主人公はあおり運転対策としては0点
この映画はすごくおもしろいのですが、主人公のあおり運転対策スキルは0点です。
あおってくるトラックと競い合うようにヒートアップしていては、お互いに怒りがおさまりません。
主人公のアンガーマネジメントスキルは0点!
あおり運転を避けるためには、沿道などに車を停めて、相手のドライバーに敵意がないことを示すのがいいです。
この映画の主人公みたいに、高速でその場から逃げようとしたり、相手を挑発しかえすような行為はNG。
獣だって、高速で自分から逃げていく物を見ると追いかけてきますからね。
そう、あおり運転をしているドライバーは人間ではなく獣になっているのです。
『激突!』のトラックのドライバーの正体
この映画で追いかけてくるトラックですが、映画の最初から終わりまでドライバーは姿を見せません。
最後まで、どんな人なのか分からないのです。
追いかけてくるトラックをリアウインドウ越しに振り返ってみても、トラックの車高が高すぎてドライバーの姿が見えない。
ドライバーの正体がわからないのも、この映画の怖いところ。
イメージでわかると思うが、日本と違ってアメリカの荒野のハイウェイは本当に平坦だ。
山などの遮蔽物がないので、隠れる場所がない(サボテンの陰に隠れるわけにはいかない)。
だから、余計に怖い。
そんなハイウェイでトラックが追いかけてきたら、隠れるすべがないのだ……。
6.この先、あおり運転は増える
残念な未来予報ですが、このまま放っておけばおそらくあおり運転は増加していきます。
なぜなら、日本の道路はどんどん過密状態になっているから。
右肩上がりで増え続ける物流のせいで、道を走るトラックの数はどんどん増すばかり。
道路状態が過密になり、あちこちで渋滞が起こるようになるとドライバーの精神衛生は悪くなります。
つまり、ドライバーにストレスがかかるような道路状況になってきてるんですよ。
あおり運転をなくすためには━━
・警察による摘発の強化
だけでなく、さらに+αとして
・道路状況の改善
が必要になるはずです。
関係各所のみなさん、がんばってください。
これ以上あおり運転が増えると若者の車離れがさらに加速するかもしれないんだから、自動車メーカーのみなさんも色々な対策を考えてほしいものです。
おまけ
実はあおり運転を描いた映画が、もう一つあります。
これです。
6つの短編をまとめた映画なんですが、あおり運転を描いた短編は3話目です。
時間でいうと、20:50〜。
ふとしたことから、さっきの映画『激突!』と同じように、あおり合戦になるのですが、ひねり技の効いたラストが予想外で面白いです。
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まとめ
ということで、あおり運転についてつらつらと書きました。
あおり運転は決して日本だけの問題ではありません。
一見、血の気が少なくケンカをしないように思える日本人ですが、やはりハンドルを握ると人格が変わる人はたくさんいます。
彼氏彼女がいる人は、相手の運転する姿を確かめないとダメですよー!