目的地までついてきてくれる日本人は優しい?

「日本人は道を聞くと、目的地まで案内してくれる人が多いから優しい」

──と、外国人が話しているのを聞いたことがある。

たしかにたまたま道を聞いただけの仲なのに、わざわざ目的地まで一緒に歩いていってくれるのは、かなり優しい気がする。

でも、本当にそうだろうか?

もしかしてそれは、日本人の英語力がないことの裏返しではないだろうか?

  • 1.目的地までついていくのは、英語で道順を伝えられないから
  • 2.俺の体験談

1.目的地までついていくのは、英語で道順を伝えられないから

道でいきなり外国人に英語で道を聞かれて、スラスラ答えられる人は少ないと思う。

「この道をまっすぐ行って、2つ目の交差点を右に曲がればいいですよ」

と的確に英語で答えられればいいけれど、それは難しい。

英語では伝えられない。 でも迷える外国人の力になってあげたい。

仕方ないから、目的地まで一緒に行って案内してあげよう。



──こう思う日本人が多いのではないだろうか。

道を聞くと目的地まで案内してくれる日本人の行動は、優しいというより、英語力が不足しているがゆえの行動な気がする。

2.俺の体験談

そういえば、俺も昔、英語で道を聞かれたけれど、ろくに答えられず、仕方なく目的地まで案内したことがある。 (目的地がすぐそばだったから良かったけどね)

英語でズバリと道順を教えたかったのだけど、うまくいかなかった。

当然、一緒に目的地に向かっている間は英語で世間話をすることになるけど、それも、

「yeah」、「oh」、「really?」の三大ボキャ貧ワードで応じるしかない。

わざわざついてきてくれるというのはあまりにも優しすぎるので、向こうも「詐欺師かなにかではないか」と警戒するだろうから、

やはり、最初に道順をズバリと伝えてしまうのがいちばんな気がする。

あれから数年たって、今はある程度英語が上手くなったので、今なら英語で道順を伝えられる自信がある。

最近は、だれか声をかけてくれないかなと、心に思いながら道を歩いている。

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1テイクの火薬量がギネス記録認定!『アンノウンソルジャー』レビュー ネタバレなし

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新宿武蔵野館にて、フィンランド映画『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』を観ました。

2時間近い映画の内のほとんどが戦闘シーンだったような気がする。

やはり劇場の大スクリーンで見る戦争映画は迫力が違う! 

 

武蔵野の紹介はこちら

www.sumo-pula.com

フィンランドの歴史の知識がなくても、純粋に戦争映画として楽しめる映画です。

事前の知識は不要!

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予告編より

  • あらすじ
  • 戦場においては兵士でさえ弱者になる
    • 弱者よりもさらに弱い者たち
  • 不意打ちの銃弾の恐ろしさ
  • 武器のデティールの細かさ
  • 原作小説
  • まとめ

あらすじ

時は第二次世界大戦

ソ連に占領された国土を取り返すために、ドイツと手を組み再びソ連との戦闘を始めたフィンランド。その戦争は「継続戦争」と呼ばれる。

無名戦士の視点から、終わりなき戦争が描かれる。

戦場においては兵士でさえ弱者になる

とにかく戦闘シーンが多いこの映画。

観客はずっと無名戦士の視点で戦争を体験することになる。

どでかい戦車に地雷や手りゅう弾を放り投げたり、兵士たちは巨大な敵に立ち向かう。

 

ここで気づいたのだが、この映画における視点はずっと兵士に固定されている。

戦車の視点から戦争が描かれることがない。

 

戦争における弱者とは、ただの兵士である歩兵のこと。

戦争における強者とは、何もかもなぎ倒して進む戦車のこと。

 

第一次世界大戦で初めて戦車が出現したことによって、ただの歩兵は弱者へと転落した。

 

この映画は一貫して、戦争における弱者の視点から描いている。

だから、戦闘シーンは恐ろしい。

砲弾をぶっぱなし、障害物をなぎ倒しながらあっという間に近づいてきて、兵士をペチャンコにしようとする戦車は、まさに戦争の化け物そのものだ。

弱者よりもさらに弱い者たち

戦争における弱者とは歩兵のことだが、それよりもさらに弱い存在がいる。

負傷兵だ。

 

地雷で足をやられたり、砲弾の破片で視力を失った歩兵たちは、弱者からさらに最弱者へと転落する。

生かすも殺すも敵次第。

自分では逃げることさえできない。

 

この映画では、そんな最弱者たちが細かく描かれているのがすごい。

目を潰されてもなお生きようとする無名戦士たちの最後の叫びは、劇場をさえも戦場に変えてしまうような力がある。

不意打ちの銃弾の恐ろしさ

戦闘シーンが多いとはいえ、ところどころには戦闘の合間のパーティーが描かれたり、いったん帰還した兵士が家族に会いに行くシーンがある。

 

そのシーンでは、戦場のように砲弾が炸裂するような音は聞こえない平和な世界なのだ。

だが、それもつかの間のこと。

また戦場に戻った兵士たちは、戦場を行進する。

 

戦闘開始の前は、恐ろしく静か。

嵐の前の静けさというやつです。

そんな静寂をいきなり破って、不意打ちを狙う敵兵の銃弾が飛んでくる。

 

僕を含む観客はみんな驚き、心臓が跳ね上がったと思う。

これが戦場なのかと。

銃弾一発の音とは、あれほどに巨大なのかと。

 

心臓の弱い人が劇場に戦争映画を見に行かないほうがいいのには、こんな理由があるのだ。

武器のデティールの細かさ

僕はミリオタじゃないので分からないけれど、この映画、武器がかなり細かく描かれているそう。

たとえばフィンランド兵士が使っていたこの武器。

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スオミM31短機関銃(無可動実銃) 新宿武蔵野館にて撮影

映画のフィンランド兵はこの武器を「いい武器だ」と言っていた。

やたら発射音のうるさいこの銃だが、フィンランド救国の武器」とまで呼ばれているらしい。

原作小説

原作小説はThe Unknown Soldier』という小説で、著者はフィンランド人のヴァイノ・リンナ

フィンランドでは超有名な作品。

 

残念ながら日本語訳はない。英訳版は↓↓↓

クリックでAmazonページへ。

  

フィンランド独立記念日には、よく『The Unknown Soldier』の映画版がTV放映されるらしい。

フィンランドの現在の平和のありがたさを再確認するために。

 

今回の映画化は三度目になるらしいが、フィンランドの人々は果たして今回の映画化に満足したのだろうか?

まとめ

一貫して無名戦士の視点から戦争を描いた映画だ。

見終わった後には、実際に戦場で戦ったかのような気だるい疲労感があなたを襲うかもしれない。

 

僕たち非戦闘員からすれば、機関銃を持つ兵士たちは紛れもない強者だが、彼らもまた戦車が行き交う戦場においては弱者となるのだ。

どの世界でもそうだが、上には上がいるものだ。

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スコットランド独立運動を加速させた映画? メルギブソン監督『ブレイブハート』レビュー

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この映画は、スコットランド独立のために戦った実在の人物、ウィリアム・ウォレスを描いた伝記映画です。

 

この映画が名作である理由は、実際のスコットランド独立運動を加速させたといわれているから。

 

スコットランド人にとっては、ウィリアム・ウォレスは祖国の独立のために戦った英雄なんです。

 

しかし、スコットランド人の間ではこの映画は賛否両論だそう。

 

なぜか?

なぜなら、監督と主演を兼任しているのがあのメル・ギブソンだからです。

 

  • あらすじ
  • 復讐鬼ウィリアムの進撃
  • 時代考証がお粗末
    • 歴史的事実を無視した例
  • この映画がスコットランド独立運動を加速させた?
  • まとめ 映画は楽しけりゃまずはよしとしよう。

 

あらすじ

13世紀末のスコットランドイングランド兵により妻を殺されたウィリアム・ウォレスは、イングランドへの復讐を決意する。

イングランドによる圧制に苦しむスコットランド人の民衆たちはウィリアムを支持し、抵抗運動は盛り上がっていく……。

 

復讐鬼ウィリアムの進撃

この映画、3時間の大作ですが、基本的にメルギブソン演じるウィリアムがイングランド兵相手に無双する話です。

細かい歴史を知らなくても十分楽しめますので、ご安心を。

 

特にウィリアムが、クレイモアという長い剣を振り回して戦うシーンが圧巻。

モンスターハンターでいうと「太刀」みたいな感じです。

あれを無茶苦茶に振り回して、敵を圧倒するんですよ。

そのシーンだけでも見応えあり、です。

 

時代考証がお粗末

アクションシーンは最高なのに、なぜこの映画には賛否両論あるのか?

 

実は時代考証がお粗末だからです。

時代考証とは、映画を撮る際に歴史的事実と相違がないかを確認する作業のこと。

 

そう。この映画、歴史映画のくせして歴史的事実をかなり無視してるんです。

 

まあ監督があのメル・ギブソンですからね。

彼は、細かい事実より映画の楽しさを追求する人ですから……。

 

歴史的事実を無視した例

たとえば以下のようなもの。

 

  • 映画ではウィリアム・ウォレスの妻がイングランド兵に殺されるが、歴史的にそんな事実はない。
  • スターリング・ブリッジの戦いは橋の上で行われたものだが、映画ではなぜか平野でこの戦いが起こっている。
  • ウォレスが顔を青く塗っているが、これはスコットランドの風習ではなく、古代ケルト人の風習である。

 

ブレイブハート メルギブソン

かっこいいと思って青く塗ってるんでしょうけど、それ間違ってますよ監督!『ブレイブハート』より



この映画がスコットランド独立運動を加速させた?

この映画は大人気となり、スコットランド人の愛国心を刺激したのでしょう。

 

どこまでが真実かは分かりませんが、この映画がひとつのきっかけとなって、スコットランド独立運動が熱を帯びたということがよく言われています。

 

映画というと、現実逃避だとか夢物語だとかいうけれど、現実に影響を与える映画もあるということです。

 

映画が社会構造を変えることもあるんです。

映画をバカにしてはいけませんっ。

 

ちなみに2019年現在もまだ、スコットランドはイギリスから独立していません。

なんどかギリギリのところまではいったみたいなんですけどね。

 

スコットランドが独立した暁には、再度この映画が注目されるかも……ね。

 

 

まとめ 映画は楽しけりゃまずはよしとしよう。

一部の評論家からは、時代考証が無茶苦茶だという批判がありますが、そんなことを気にせず見てもふつうに楽しめます。

 

スコットランドの人は、自国の歴史が歪曲されて描かれているわけですから、憤慨する人もいるでしょう。

 

しかし、アクション映画としては一級の出来栄えですから、あんまり気にせず見ちゃえ見ちゃえ!

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