映画『大いなる陰謀』を見て2014年の「イスラム国渡航計画事件」を思い出した。
トム・クルーズとメリル・ストリープの豪華共演作! という惹句にひかれてこの映画を観たわけですが……。
正直、二人の豪華俳優をまったく活かせてないです。
時間がずれた3つのストーリーが同時進行していくという物語なんですが、あんまり緊張感がない。
ラストも微妙。
わざわざ高い出演料払ってドル箱俳優であるトム・クルーズを使う必要がなかったような気が……。
ということで、残念ながら駄作ですね。
なんで駄作なのにレビュー記事を書くんだ?
実は、退屈な(失礼)この映画のあるシーンを見ていて、2014年に起こったある事件を思い出したんです。
それをお話ししましょう。
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このシーンにびびっときた
初老の大学教授が、学生二人を説得しているシーンです。
実はこの二人の学生は、イラク戦争に参加する決意を固めているんですね。
大学院に進めるほどの優秀な成績であるにもかかわらず、国内での就職よりも中東で命をかけることを選択したわけです。
教授は困惑して言います。
「アメリカ国内でもすべきことはある」
実は教授は、若いころにベトナム戦争を経験しています。
自分の戦争体験を踏まえたうえで、彼らの戦争参加を考え直すように説得してるんです。
しかし彼らは、教授の説得を振り払い、戦争に旅立ってしまいます。
イスラム国渡航計画事件
このシーンを見て、僕が思い出した事件とはこれ。2014年の事件です。
日本の学生が、遠く離れた中東の過激派組織「イスラム国」に参加しようとした事件。戦争とは無縁だと思っていた日本の世論に衝撃をあたえました。
なぜ平和な日本から、遠い中東まで行って戦争なんかに参加するの?
理解できない。日本の平和に感謝すべきだ
世論はおおよそそんな反応だったわね
平和な日本というイメージはまもなく終焉を迎える?
日本からイスラム国の戦闘員が誕生しかけていた!
確かに衝撃的ですよね。
イスラム国渡航計画を立てたその学生は「就職活動がうまくいかないので、戦争に参加しようと思った」と言っています。
政治的な信条はなく 宗教的なバックボーンがあるわけでもない、典型的な日本の学生という感じです。
そんな彼がなぜ戦争に参加しようとしたのか?
おそらく本人にだってよく分かっていないでしょうから推測の域を出ませんが、やはり日本の閉塞した社会状況に嫌気がさしたのではないでしょうか。
日本国内にいても、自分の居場所がない。
社会の歯車になりたくない。
就職を控えた学生なら、誰しもが抱いたことのある感情でしょう。僕もそうでした。
しかし、ほとんどの学生はそう思いながらも就職していきます。
結局はそこにしか道がないと思い、就職します。
この学生にはたまたま、海外に行けるほどの行動力があって、たまたまイスラム国渡航計画を手引きしてくれる教授がいたというだけのことです。
どんな人にだって、ふとしたことから戦争に参加する道を提示される可能性があるんです。
明日は我が身と思わないといけません。
戦争は日本のすぐそばまで迫っているのかも……。
アメリカの学費は超高い!
もちろん、日本の大学生とアメリカの大学生とでは事情が違います。
アメリカの大学の学費は日本の大学の3,4倍はします。だから、親の収入が少ない学生はたいてい学資ローンを組みます。
しかし、この学資ローンを払えずに自己破産していく学生がたくさんいるんですね。
結局、ワーキングプアとなって、高い利率のローンをいつまでたっても完済できないという悪循環に陥る学生もいます。
この辺の事情はアメリカの方がシビアです。
実はアメリカには戦争リクルーターがいて、お金に困っている学生を見つけて「戦争に参加したら、学資ローンを免除する」とかいって、学生を戦争に参加させたりするそうです。
戦争がビジネスになってるのね
進んで戦争に参加したいというアメリカ人はたくさんいます。
特に下層階級の人に多い。
だって、戦争に参加すれば最低限の衣食住とお金がもらえますからね。
この辺りのアメリカ事情を知りたい人は、この本がおすすめです。
書名がWikipediaにのるほど有名になった新書ですので、ぜひどうぞ。
アメリカがいかに戦争をビジネスにして、下層階級の人を死に追いやっているかがよく分かります。
つい先日、続報があった!
私戦予備容疑が適用されるのは初めてだそうです。
この事件の影響を受けて、戦争に参加しようとする若者はきっと出てくるでしょうね……。
まとめ
ぜんぜん映画レビューじゃなかったわね
ごめんなさい!
でも勢いで書いちゃいました。
自己弁護になっちゃいますけど、映画のワンシーンから連想して社会問題にフォーカスをあてるのも、一つの映画レビューとして存在意義はあるんじゃないかなーと思います
まあ、映画としてはやっぱり駄作なので、映画を見るより『貧困大国アメリカ』を読んでほしいですね。