スコットランド独立運動を加速させた映画? メルギブソン監督『ブレイブハート』レビュー

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この映画は、スコットランド独立のために戦った実在の人物、ウィリアム・ウォレスを描いた伝記映画です。

 

この映画が名作である理由は、実際のスコットランド独立運動を加速させたといわれているから。

 

スコットランド人にとっては、ウィリアム・ウォレスは祖国の独立のために戦った英雄なんです。

 

しかし、スコットランド人の間ではこの映画は賛否両論だそう。

 

なぜか?

なぜなら、監督と主演を兼任しているのがあのメル・ギブソンだからです。

 

 

あらすじ

13世紀末のスコットランドイングランド兵により妻を殺されたウィリアム・ウォレスは、イングランドへの復讐を決意する。

イングランドによる圧制に苦しむスコットランド人の民衆たちはウィリアムを支持し、抵抗運動は盛り上がっていく……。

 

復讐鬼ウィリアムの進撃

この映画、3時間の大作ですが、基本的にメルギブソン演じるウィリアムがイングランド兵相手に無双する話です。

細かい歴史を知らなくても十分楽しめますので、ご安心を。

 

特にウィリアムが、クレイモアという長い剣を振り回して戦うシーンが圧巻。

モンスターハンターでいうと「太刀」みたいな感じです。

あれを無茶苦茶に振り回して、敵を圧倒するんですよ。

そのシーンだけでも見応えあり、です。

 

時代考証がお粗末

アクションシーンは最高なのに、なぜこの映画には賛否両論あるのか?

 

実は時代考証がお粗末だからです。

時代考証とは、映画を撮る際に歴史的事実と相違がないかを確認する作業のこと。

 

そう。この映画、歴史映画のくせして歴史的事実をかなり無視してるんです。

 

まあ監督があのメル・ギブソンですからね。

彼は、細かい事実より映画の楽しさを追求する人ですから……。

 

歴史的事実を無視した例

たとえば以下のようなもの。

 

  • 映画ではウィリアム・ウォレスの妻がイングランド兵に殺されるが、歴史的にそんな事実はない。
  • スターリング・ブリッジの戦いは橋の上で行われたものだが、映画ではなぜか平野でこの戦いが起こっている。
  • ウォレスが顔を青く塗っているが、これはスコットランドの風習ではなく、古代ケルト人の風習である。

 

ブレイブハート メルギブソン

かっこいいと思って青く塗ってるんでしょうけど、それ間違ってますよ監督!『ブレイブハート』より



この映画がスコットランド独立運動を加速させた?

この映画は大人気となり、スコットランド人の愛国心を刺激したのでしょう。

 

どこまでが真実かは分かりませんが、この映画がひとつのきっかけとなって、スコットランド独立運動が熱を帯びたということがよく言われています。

 

映画というと、現実逃避だとか夢物語だとかいうけれど、現実に影響を与える映画もあるということです。

 

映画が社会構造を変えることもあるんです。

映画をバカにしてはいけませんっ。

 

ちなみに2019年現在もまだ、スコットランドはイギリスから独立していません。

なんどかギリギリのところまではいったみたいなんですけどね。

 

スコットランドが独立した暁には、再度この映画が注目されるかも……ね。

 

 

まとめ 映画は楽しけりゃまずはよしとしよう。

一部の評論家からは、時代考証が無茶苦茶だという批判がありますが、そんなことを気にせず見てもふつうに楽しめます。

 

スコットランドの人は、自国の歴史が歪曲されて描かれているわけですから、憤慨する人もいるでしょう。

 

しかし、アクション映画としては一級の出来栄えですから、あんまり気にせず見ちゃえ見ちゃえ!