映画『スティーブ・ジョブズ』レビュー(2013)なぜAppleと名づけたのか?
1.伝記映画としての評価は微妙
世界を変えたスティーブ・ジョブズの伝記映画が、おもしろくないわけない!
ところが、少しハードルをあげすぎたせいか、見終わってみるとモヤモヤ感が残りました。
一番の問題は、ジョブズの死を描いていないことです。
ジョブズの死に世界が悲しむところまでを描いた映画かと期待していたのですが、物語は中途半端なところで終わってしまったのが残念でした。
しかも、ジョブズの伝記映画にもかかわらず、iPhoneもMacbookもiPadもまったく登場しないというまさかの展開。
そこを避けてどうやってジョブズの伝記映画といえるんだ!?
なんだか中途半端な映画でしたが、 駄作というほどでもありません。
ここでは、ジョブズについて印象に残ったシーンをあげてみます。
①学費を払わずに授業を受けていた
ジョブズはリード大学に入学しますが、すぐに中退。
しかし中退後も大学のキャンパスを放浪し、哲学やカリグラフィー(西洋書道)など、興味のある授業だけ受けていたそうです。
まあ大学の授業って、基本的に本人確認とかされませんし、授業料払ってなくても受けられますからね。
大学に授業料を払うことが無意味であることにいち早く気づき、無料で授業を受けていたジョブズ。
やはり天才は目のつけどころがシャープですね
②お風呂に入らないせいで体臭がきつかった
ジョブズは菜食主義であり、「果物や野菜しか食べてないんだから、風呂に入らなくても臭くならない」と思っていたようです。
しかし、実際には体臭がきつかったらしく、
上司から直接「体臭をどうにかしろ」と言われてしまいます。
それだけ臭くても自分では気づかないもんなのかね?
僕だったらそんなこと言われたらショックで寝込みますが、ジョブズはむしろそのショックをバネにして、仕事で優秀な成績をおさめます。
その後、体臭がどうなったのか映画では触れられていませんが、
「優秀であればいくら臭くてもかまわない」ということで許されたのでしょうか。
③親友を平気でだます
ジョブズが上司から「このゲームのプログラミングをすれば5000ドルをやる」
──と挑発され、ジョブズはその仕事を受けます。
しかし、ジョブズはそのプログラミング作業を友人のウォズに丸投げします。
ウォズはプログラミングが大好きな優秀オタクで、見事にプログラミングを完成させますが……。
ジョブズがウォズに渡した報酬はたったの350ドル。
残りの4650ドルは、そのままジョブズの財布にしまわれました。
しかも上司には、自分がプログラミングをしたように嘘をついて、メキメキと社内の評価を上げていったのです。
④それは俺の子供じゃない!
ジョブズの恋人のお腹にめでたく新しい生命が宿りますが、
ジョブズは自分の子供だと認めようとしません。
恋人に対しても「旅行中に別の男とやったんだろ……」みたいなことを言ってしまいます。
自分の仕事に集中したいあまり、恋人の気持ちに共感してやれなくなっていたのでしょうか。
逆に言うと、ジョブズほどの男でさえもテンパらせてしまうのですから、
男にとって妊娠告知って恐ろしいもんですね。
⑤いらない社員は即クビ!
アップル社内で「スティーブされる」という言葉が流行語になったことがあるそうです。
どういう意味かというと、「解雇される」という意味。
あまりにもジョブズがすぐに社員をクビにするので、こんな嬉しくない流行語が生まれたらしいです。
ワンマン経営者どころか、もはや独裁者やないか!
⑥アップルの由来
ジョブズが車に乗っている時に、ふと「アップル」という言葉を思いつくシーンがありました。
ジョブズのことだから「リンゴは禁断の果実のメタファーであり、俺たちがそれを人類で初めて食べるのだ!」みたいなカッコいい理由があるのかと思いきや、
つづいてジョブズが言ったのは「電話帳で前の方に来るから」という理由。
いや、まあそりゃ確かにアルファベット順で「A」は前の方に来るから、他の会社よりは目立つかもしれんけど……。
ところで、日本でも「50音順で前の方に来ると、書店で目立つから」という理由で、「あ」から始まるペンネームを使っている小説家がたくさんいますよね。
なんだかセコいような気もしますが、これも立派な経営戦略の1つなのかもしれません。
まとめ
伝記映画としては中途半端な感じの映画でしたが、
そもそもジョブズの人生を2時間にまとめるのが、最初から無理だったのかも。
本格的な伝記映画を作るのなら、スティーブ・ジョブズPART1,PART2みたいにして、2時間の映画を2本撮るのもありだったと思うのです。
実は、この映画からわずか2年後に新しい『スティーブ・ジョブズ』という映画(タイトルは全く一緒!)が作られているので、
そちらに期待ですね!
読んでいただいてありがとうございました!