ディズニーランドの隣に住む貧困層『フロリダ・プロジェクト』感想

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胸にぐっときて吐きそうな映画でした。

これは傑作。

1.ざっくりあらすじ

シングルマザーの20歳そこそこの女性(女子といったほうがいいかも)が、一人娘と一緒に、フロリダのにあるディズニーランドのそばの安モーテルでギリギリの貧困生活をつづける。

だが、生活に困窮したシングルマザーは売春に手を染めていく。

2.夢の国のそばに暮らす夢破れた人たち

フロリダには巨大なディズニーランドがあります(正確には世界で唯一「ディズニーランド」とは呼ばず、「マジック・キングダム」と呼ぶそうですが)。

そのすぐそばには、観光客用の安いモーテルがあるんですね。

予告編より


一見きれいなモーテルに見えますが、そこに宿泊しているのはアメリカの貧困層の人たち。

彼らは1週間ごとに宿泊料金を払って暮らしている。

なぜ、彼らはモーテルに暮らしているのでしょうか?


いくら安モーテルとはいえ、連続で泊まっていたら一般的なアパートよりも割高になるのに。

アパートにさえ入居できない

実は犯罪歴などがあると、アパートに入居するのが難しいそうです。

入居審査に通れない彼らは、仕方なくモーテルに泊まるらしい。

だが、モーテルは一時的に泊まるためのもの(日本でいうビジネスホテルみたいなもの)なので、連続で泊まっていると高額な宿泊料がかかってしまい、より一層貧困に陥るという悪循環に……。

映画の中に、ディズニーランドに来た観光客がこのモーテルに泊まりにくるも、あまりに治安の悪さにびっくりして帰ってしまうシーンがあります。

夢の国ディズニーのようなカラフルなモーテルに暮らす貧困層の人たち。

この明暗のコントラストがすごいですね。

ちなみに映画に出てくるこのモーテル、実在するそうです。

もし、フロリダにいく機会があれば、絶対に見学したいな。

すぐそこにあるディズニーランドに入れない子供

娘はまだ小さいので、自分が貧困であることもよくわかっていません。

近くにディズニーランドがあることは知っていますが、入ったことがない。チケットが高くて買えないから。

でも、ディズニーランドから上がる花火はタダで見れる。

今はそれを見るだけで幸せな年齢だけど、もう少し成長すれば、自分がどうしようもない貧困層にいることに気づくでしょう。

中流家庭以上の子供が親に連れられて、ディズニーランドに入っていく光景を彼女はどのようにとらえているのか……。

3.ラストがすごすぎる

この映画、ラストがすごいです。ほんとにびっくり。

ハッピーエンドでもバッドエンドでもありません。

言うなれば、「マジカルエンド」でしょうか。

貧困層を明暗に分けて描いた作品としては、他に『万引き家族』がありますが、この映画が好きな人はハマると思います。